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OMEGA(オメガ) スピードマスター Ref.3510.50
| 状態 | Aランク(使用感が少ない) |
|---|---|
| 査定コメント | 時計本体に傷が少なく状態良好です。平置き時±5秒ほどと精度も良好です。 |
| ブランド | OMEGA オメガ |
|---|---|
| 商品名 | OMEGA(オメガ) スピードマスター Ref.3510.50 |
| サイズ | サイズ幅:44mm 高さ:38mm 厚さ:10mm |
| ケース素材 | SS |
| ブレス素材 | SS |
| 仕様 | 自動巻き機械式時計 |
| 付属品 | OMEGA純正BOX、ギャランティ |
| 管理品番 | 2510018 |
「終電は逃した。秒針は連れて帰った。」

黒い文字盤に、丸い窓が三つ。
夜の底で、まだ電気のついている部屋みたいだ。
誰が起きているんだろう。
たぶん、昔なりたかった自分だ。
こんな時間まで、何をしている。

白い針は、今日も律儀に働いている。
こっちは人生の途中で何度もサボったというのに。
履歴書に書けない午後や、
誰にも返事をしなかった日曜日まで、
こいつは一秒ずつ数えるつもりらしい。

まったく、気の長い機械だ。
腕に載せると、妙にしっくりくる。
着慣れた革ジャンのポケットから、
知らない国の硬貨が出てきたときのような。
自分のものなのに、まだ少し謎がある。
指で触って、裏返して、
結局またポケットに戻したくなる、あの感じ。
銀色のブレスレットが肌に触れる。
最初だけ、ひやりとする。
しばらくすると体温になって、
さっきまで店のショーケースにいたことを忘れてしまう。
人の持ち物になるって、
案外こういうことなのかもしれない。
袖口からのぞく銀色。
その奥に沈んだ黒。
きちんとした顔で会議に出て、
机の下では、遠くへ行く算段をしている。
海沿いの、名前も知らない駅。
昼から開いている薄暗い喫茶店。
窓際に置かれた、葉っぱの大きすぎる植物。
そういう場所が似合うくせに、
月曜の朝の改札も、ちゃんと通ってくれる。
ふと、クロノグラフのプッシャーに指が触れる。
何を計ろう。
コーヒーが冷めるまで。
雨がやむまで。
向かいの席の人が、言いかけた言葉を続きを話すまで。
計ったところで、
どうにもならない時間ばかり思いつく。
それでも、押せるボタンがそこにあるのはいい。
長い一日に、自分で小さな始まりをつくれる。
帰り道、用もないのに時計を見る。
さっき見たばかりなのに、また見る。
街灯がガラスの上を滑って、
一瞬だけ、針も目盛りも見えなくなる。
角度を変えると、ちゃんとそこにいる。
そのたびに少し、嬉しい。
時刻を知りたいだけなら、
こんな買い物はしなかった。
理由を聞かれたら、
黒い文字盤がよかったとか、
腕に収まりがよかったとか、
いくつか本当のことを答えると思う。
けれど、いちばん近い理由は、
買った日の帰り道にある。
信号待ちで左腕を持ち上げた、
あの、誰にも見せていない顔だ。

終電のなくなった駅前で、
タクシーの列を横目に、もう少し歩くことにした。
左手をポケットに入れかけて、
やっぱり出した。
明日もあるので、今夜はこの辺で。
秒針だけは、好きにさせておこう。

BROOCH時計修理工房
アンティークとしてはとても綺麗な状態のお品物となっています。外装の磨きやオーバーホールも受付していますので、ご購入時にご相談下さい。
作成者YK
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