【ULYSSE NARDIN】海から宇宙にまで広がり、天皇も愛用したブランド ーユリス・ナルダンー
こんにちは。ブローチ時計修理工房 神田店 新人スタッフの32です。
前回は、当店にございます フレデリック・コンスタント のアンティーク時計をご紹介させて頂きました。まだ、御覧になられていない方はお読みいただけると幸いです。夏本番もすぐそこ!!というこの時期に、海にまつわる時計ブランドのご紹介です。それは、ユリス・ナルダン。海軍や海運会社で使われているこのブランドのアンティーク時計が新たに当店に来てくれました。今回は、そのユリス・ナルダンの歴史をさかのぼりたいと思います。
ユリス・ナルダンの歩みは海と共に
錨がトレードマークの時計ブランド 【ユリス・ナルダン】が誕生したのは1846年。時計職人の下で修業したのちに、ユリス・ナルダン氏が23歳の若さでスイスのル・ロックルにて創業された老舗ブランドで、昨年の2021年で創業175周年を迎えました。大規模な海洋探査と国際貿易が盛んな時代に、複雑なポケットウォッチ、いわゆる懐中時計と一緒に航海用の独自のマリーン クロノメーターの開発を始めます。マリーンクロノメーターとは、航海時、船に載せる時計の事で、正確な緯度・経度から現在地を把握するためには、波の揺れ、海上の温度変化、そして湿気に影響されない高精度時計が求められるものでした。ですが、ユリス・ナルダンは、日本を含む各国の海軍や船社会での信頼を得るほど重要な役割を担う存在となります。1975年までの万国博覧会で、懐中時計とマリーンクロノメーターで合計14回もグランプリを獲得、国際見本市ではゴールド・メダルを10回。そのほかにも、多数の特許を含む4300以上もの賞を獲得し、高い評価を得たのでした。
腕時計で海から宇宙へ
現在までに発表されているコレクションのあらゆるところにちりばめられている海から得たインスピレーション。1970年代までユリス・ナルダンの快進撃は続きましたが、2度の世界大戦やセイコーがクオーツ時計を生み出したことによる機械式時計の窮地は、ユリス・ナルダンも例外ではありませんでした。経営基盤そのものを揺らがせたこの時代は、多くの時計メーカーが機械式時計から手を引いていき、ユリス・ナルダンも消えゆく時計ブランドに名を連ねる運命かとおもわれました。が、その一歩手前で救世主 ロフト・W・シュナイダーの大胆な改革によりそれを回避します。その後は、ユリス・ナルダンが今まで培てきた高い技術力を生かした腕時計を次々に生み出し、天才時計師・物理学者のルートヴィッヒ・エクスリン博士と協力し「天文三部作」と呼ばれる3つの時計も誕生させます。太陽・月・星を文字盤上で見る天文時計を腕時計サイズにすると言う創造性に富んだ時計を生み出し、その時計の複雑さは、第1作目の「アストロラビウム・ガリレオ ガリレイ」はギネス認定されました。海から始まったユリス・ナルダンが、腕時計サイズで宇宙の様子までも網羅してしまうとは、とてつもなく壮大ですよね。日本での知名度は、あまり高いとは言えないユリス・ナルダンですが、明治天皇もユリス・ナルダンの時計を愛用していたことは、ご存知の方も多いのではないでしょうか。そんな数々の異業を成し遂げてきたユリス・ナルダンのアンティーク時計。一度、神田店で直に御覧になりませんか?
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