エッセンス(ESSENCE)Ref.ES2112Lのムーブメント交換
今回はエッセンスのムーブメント交換の修理依頼です。
「30年ほど前に購入してから一度もオーバーホールしていない」とのことでお預かりしました。最初は電池交換で持ち込まれたのですが、電池を入れても正常に動作せず、回路に異常が見られたため不動となりました。このケースはメーカーのオメガに出した場合でも機械ムーブ交換対応となるとの事でした、そもそもかなり古いモデルの様でしたのでオーバーホールで対応しようと思っていたので不本意ですが機械交換で対応させていただく事になりました。
安心と信頼のETAムーブメント
この時計はエタのムーブメントを使用しています。エタとは各時計メーカー向けに汎用ムーブメントを販売している企業です。このエタのムーブメントは入手が比較的容易なため、万が一不動になったとしても交換が可能なのです。
ムーブメント交換とは?
ムーブメント交換とは時計の中の機械を丸々新しいものに交換する作業です。この際、機械は変えますが、リューズや文字盤、針といった部品は元のものを使用するため、時計の外観が変化することはありません。さらに、この際に、再利用する部品はすべて洗浄いたしますので、オーバーホール同様、時計をピカピカにしてお返しいたします。
外装磨きとは?
今回はやりませんでしたが、当店ではオーバーホールやムーブメント交換と同時進行で外装磨きを行い、表面の傷を落としてピカピカにすることができます。
表面を磨く際には、バフモーターという機械を使用します。
こちらがバフモーターです。円盤状のフェルトが回転するので、そこに研磨剤をつけて時計を磨いていきます。基本的には一番左のフェルトバフで傷を落としていき、右の布バフでフェルトバフでピカピカに仕上げていきます。スポンジバフはスジを付け直すために使用します。
ほとんどのブレスはポリッシュ加工(時計のケースやブレスレットが鏡のように物を映し出すほどの仕上げ方。主にバフモーターを使用し、職人の手作業により磨き込まれるのが一般的。鏡面仕上げとも呼ばれる。)とサテン加工(金属部分の表面に細かな傷を非常に狭い間隔で付けることにより、映り込みを無くし方向性のある艶消し面に仕上げる加工方法。絹地(サテン)に似た質感を施すため、そのように名付けられた)が施されており、ベルトひとつひとつをマスキングし、バラしながら行います。こうすることで鏡面仕上げとサテン仕上げのコントラストが美しく仕上がるのです。
精密機械といえる腕時計は、パーツのちょっとした磨耗や欠けで機能が落ちてしまいます。そのために、定期的なオーバーホールが大事になっていきます。そして、機能だけではなく見た目の美しさもポリッシュ加工で保ってはいかがでしょうか。では、また何か気になる事がありましたら、気軽にBROOCH時計修理工房にお越し下さい。