Cartier(カルティエ)1980年代マストタンク ヴェルメイユのオーバーホール【蒲田】
多くの人を魅了するCartierの代表シリーズ「タンク」
1847年、ルイ・フランソワ・カルティエが宝石細工の店として創業したフランスの名門カルティエは、時計の分野でも長い歴史を刻んでいる。
1917年、カルティエはスクエア型の腕時計「タンク」コレクションを発表し1919年に初代モデルを発売、そのデザインは象徴的な魅力を放ち、
「タンキスト」と呼ばれる愛好家たちを生み出しました。モハメド・アリ、ダイアナ妃、イヴ・サンローラン、
そしてアンディ・ウォーホルと言ったアーティストたちも、アールデコ調の「タンク」そのデザインに強い愛着を抱き、彼は手巻き式であるその時計を巻かずに着用していました。
この逸話からもタンクは時代を超えて愛されたのが伝わる。1970年代に発表されたディフュージョンレーベルの「マストタンク」によってその人気は頂点に達した。
カルティエならではが詰まったマストタンク
このケースの特徴は、「マスト」シリーズにも採用されているヴェルメイユ技法が用いられていることです。
ヴェルメイユ技法とは、シルバー925の下地に18Kの薄い板を高温高圧で融着させるカルティエならではの技法で豪華絢爛な外観が特徴です。
マストタンクの文字盤デザインには様々なバリエーションがありますが、こちらのタンクはローマ数字のインデックスにレールウェイ模様が描かれたクラシカルなビジュアル。
ブルースチールの2針の示す時間をよく見ると「Cartier」のシークレットサインがVIIに描かれているのがユニーク。リューズのサファイアが視覚的に美しい効果を生み出しています。
長くご愛用頂くことで絆を結ぶことにつながりますよ
お持ち込み頂いたオーナー様のお話によると40年以上前にお父様が購入された時計で最近ご着用されなくなったため譲り受けたそうです。
初めてのオーバーホールとのことで内部の状態を見ると、恐らく以前に電池交換をした人がムーブメントに直に触れてしまったのか皮脂の付着した後が目に留まります。
長期間メンテナンスが無かった事に加えこれから使用をしていく事を併せて考えると、このタイミングでオーバーホールをお持ち込み頂けたのは良かったです。
ネジ穴がありますが電池抑えが無く、こちらに見合った抑えの代用品か、何とか工夫して仕上げないと動作不安定になる可能性がある為オーバーホール進行に検討します。
リューズを回しての動作の確認の中でもリューズがとても重い状態であるので内部機構を分解して丁寧に掃除・注油を行いオーナー様のお手元に戻したいと思います。
オーナー様曰く、お父様が何となく着用しなくなった時計をもらった。と厳格な譲渡ではなかったとのことですが、
カルティエタンクのような長く愛用できる時計はお子様に受け継ぎ、さらに次の世代に受け継いでいく事もできます。
人から人へと受け渡され大切にする循環が一つの歴史や文化になっていく一歩かもしれません。
ブローチ時計修理工房なら、そんな家族の絆を結ぶようなお手伝いができます。
時計のメンテナンスや修理、トラブルのご相談など是非お気軽にお問合せ下さい。