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アニュアルカレンダー(Annual Calendar)

アニュアルカレンダーは、機械式時計に搭載される複雑機構の一つで、年に一度(2月末)のみ手動で日付調整が必要なカレンダー機能を指します。月ごとの日数(30日・31日)を自動で認識するため、3月から12月までは日付調整が不要ですが、うるう年を考慮しないため、2月28日または29日を経過すると手動調整が必要になります。

アニュアルカレンダーの仕組み

アニュアルカレンダーは、歯車とカム(レバー)を組み合わせたメカニズムによって、各月の長さを自動で判別します。以下のような動作を行います。

1. 31日ある月(1月・3月・5月・7月・8月・10月・12月) → 自動で翌月1日に進む。

2. 30日しかない月(4月・6月・9月・11月) → 30日から翌月1日にスキップ。

3. 2月のみ28日または29日を手動調整する必要がある。

パーペチュアルカレンダーとの違い

アニュアルカレンダーはパーペチュアルカレンダーよりも手頃な価格で提供されることが多く、実用的な高級時計の機能として人気があります。

代表的なアニュアルカレンダー搭載モデル

1. パテックフィリップ 5146

1996年にパテックフィリップが世界初のアニュアルカレンダーを開発。ムーンフェイズ表示付きのエレガントなデザイン。

2. ロレックス スカイドゥエラー

ロレックス唯一のアニュアルカレンダーモデル。回転ベゼル「リングコマンド」でカレンダー調整可能。

3. オメガ コンステレーション グローブマスター

コーアクシャル・ムーブメントを搭載し、高精度で実用性の高いモデル。

4. IWC ポルトギーゼ アニュアルカレンダー

12時位置に3つの窓を配置し、シンプルかつ視認性の高いデザイン。

メリット・デメリット

メリット

✅ 利便性が高い
1年に1回の調整で済むため、日常使いしやすい。

✅ パーペチュアルカレンダーよりも安価
複雑機構の中では比較的リーズナブルで、高級時計のエントリー機能として人気。

✅ 視認性とデザイン性が高い
多くのモデルが、日付・月・曜日表示をバランスよく配置。

デメリット

❌ 2月末だけは手動調整が必要
完全自動ではないため、うるう年の計算はされない。

❌ 機構が複雑なため修理コストが高い
通常のカレンダー機能付き時計よりもメンテナンス費用がかかる。

まとめ

アニュアルカレンダーは、パーペチュアルカレンダーより手頃でありながら、実用性の高い機構として多くの高級時計ブランドが採用しています。年間の手動調整が1回だけで済むため、日常使いの高級時計として最適です。

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