いつも同じ時間に時計が止まってしまいます。どうしてですか?
自動巻きや手巻きの腕時計が毎日決まった時間に停止してしまうのは、歯車に欠けなどがあるか、時計内部のサビや汚れの可能性が高いです。そのサビや汚れ、歯車の不具合が同じ個所で引っかかる原因となっているのでしょう。
こういう症状が出た場合はどちらにせよオーバーホールが必要になると思われます。
そもそも、なぜオーバーホール(分解掃除)が必要になるのか?
腕時計を使っていて、どこかのパーツが壊れて時計が動かなくなってしまったら、たいていの人は修理に出すと思います。しかし、動いていて、そこそこ時間が合っていれば、なかなか「時計を点検してみよう」と思う人はどうやら少ないようです。
実はこの「まあいいか?」と言う考え方は時計にとってあまり好ましくありません。時計というのは常に動いています。中でも最も激しく動く秒針などは、1時間で60回、1日で1440回、1年で52万回転以上しています。
それにともない各歯車やテンプが連動してものすごい回数動いているわけです。その摩擦を軽減するために適したオイルを使っているわけですが、永久にもつわけではありません。
当然オイルも劣化したり、乾いてしまったり、汚れてしまったりします。そうなるオイルが役目をはたす事ができなくなり、歯車のホゾが摩擦により傷が付いたり、極端に減ったりする事になります。
それが時計全体で起っていく可能性があるのです。
先日もあるメーカーの時計のチェックを依頼され見てみると、オイル切れの為、ローター芯がもの凄い減り方をしていて、上下のガタツキが大きくなり、ローターがムーブを削り金属の粉だらけになった状態になっていました。時計を腕に着けて使っている間、ローターは常に回っているのでこの様な現象が起きてしまいます。
ローターが擦れた所はメッキが剥げてしまい、その粉が機械全体に入り込んで各所のオイルと混ざり汚れ、そこのパーツがまた傷が付いたり減ったりの悪循環をおこします。
こうなってしまうと、当然オーバーホール料金のほかに部品代がかかってしまうので修理料金が高額になってしまいます。
クオーツ時計も機械式ほどではありませんが、歯車等を使っているいじょう、同じ事がいえます。
ただ、クオーツで一番気を付けなければならないのが、電池の漏液です。電池が切れたまま放置していると電池から液が漏れだし、それが原因で機械や回路が腐食してしまい、最悪の場合ムーブメント交換になってしまうケースもあります。
以上の事からも、やはりオーバーホールは必要です。
目安は、機械式なら3~5年に一度、クオーツなら電池交換3~4回目の時にというのがおすすめです。
最近極端に時間が遅れる、進む、振ると変な音がする、持続時間が短くなった様な気がするなど有りましたらオーバーホールが必要かどうかチェックしておりますのでどうぞお持ちください。