Cartier(カルティエ)カルティエ「パシャ」2324のオーバーホール
カルティエ「パシャ」の意味とルーツ
1847年にルイ=フランソワ・カルティエによって創設されたカルティエ、一流宝飾店としての道を歩み続け
経営が後世へと受け継がれ1898年にフランソワの孫ルイ・カルティエとしてのストーリ―が始まります。
1899年にルイ・カルティエが飛行家のサントス・デュモンと出会うことでカルティエの時計の歴史も大きく動き出しました。
世界初の男性用腕時計「カルティエ・サントス」が生まれて以降「タンク」やジュエリーラインとの融合「パンテール」と多くのコレクションが追加されていきます。
「パシャ」は1943年にルイ・カルティエがモロッコのエル・ジャヴィ公(太守を意味する「パシャ」と呼ばれる地位にいた人)に
自宅のプールで着用出来る防水機能を備えた時計が欲しいと依頼され制作したものが由来と言われています。
元々は角形の防水時計だったそうですが1985年に改良を重ねられ「強さに惹かれる男性に向けて」というコンセプトのもと誕生しました。
改良のデザインはオーデマピゲの「ロイヤルオーク」やパテックフィリップ「ノーチラス」を手掛けたデザイナー”ジェラルド・ジェンタ”氏が携わっています。
ジェラルド・ジェンタ氏はどこにも属さず様々な時計メーカーからの依頼を引き受け数多くの名作を世に生み出し「時計界のピカソ」と呼ばれ、
その所業はディズニーデザインのレトロファンタジーといった遊び心ある作品ブランドを創出したエピソードなどここでは語り切れないほどです。
カルティエの美しいマニュファクチュール
オーナー様のお話によると1年ほど前にとけいを落下させてしまった衝撃でパシャの特徴となっているリューズカバーが壊れてしまったそうです。
通常であれば、ねじ込んでリューズをガードしてくれるカバーがチェーン部の歪みによってねじ込みができない状態になっています。
リューズ自体は回すことが出来て時刻調整やカレンダーの早送りもできる状態のようです。
落下によるダメージのほとんどはリューズカバーが引き受けているようで内部の機構の破損は恐らく現状では無いようです。
パーツの一部の破損やネジのはずれが無いか念のため裏蓋を外して確認を行います。
8個のネジによって止められる裏蓋にロイヤルオーク等と共通点を感じジェラルド・ジェンタ氏のデザインが継承されているのかな、と想像してしまいます。
開けた裏蓋の中にはカルティエが製造したムーブメントである証「CARTIER 049」の刻印があるローターが出てきます。
落下させてから1年は使用していなかったそうですが、内部から放たれる鈍い輝きは美しく「早く身に付けて」と言わんばかりです。
内部の洗浄後に油を注しなおすことでより美しく輝いて時を刻んでくれると思います。
丁寧にオーバーホールを行いオーナー様の元へお返しいたします!
皆様も大切な時計を「落下させてしまった」「ぶつけてしまった」といったような体験はございませんか。
そういった時計があり眠らせている時計があれば是非ブローチ時計修理工房へお知らせください。
ご相談のみでも歓迎していますのでお気軽にお問合せ下さい。お待ちしています!