HERMES(エルメス)クリッパーCL4.220のオーバーホールのご依頼がありました
エルメスのロングセラーシリーズ「クリッパー」
ティエリー・エルメスが1837年に創業した馬具工房がラグジュアリーブランドへと成長したエルメス。
バーキンやケリーといった代表的なバッグを生み出しファッションの界隈で最高のクオリティを追求し続けています。
今回はその世界最高峰と言われるブランド「エルメス」の腕時計のシリーズ「クリッパー」CL4.220のご依頼がありました。
クリッパーは1981年に誕生しロングセラーコレクションとして多くの女性から支持を得ていました。
お持ち込みいただいたオーナー様はご家族より譲り受けたもので長らく眠らせていたため「ちゃんと動かして着用したい」という要望でお持ち込み頂きました。
クリッパーのシリーズは2018年に生産終了しているため、現在残っているものが希少になってくるためこのタイミングでお越しいただいて本当に良かったです!
クォーツ式の腕時計で気を付けたい“電池の液漏れ”
長らくエルメスの定番腕時計だったクリッパーはクォーツ式で電池を動力として時を刻みます。
オーナー様のお話によると10年近くは保管状態にあったというお話でしたが、電池を入れたままの状態にしていたそうです。
時計の電池の平均寿命は約2年ほどと言われているので10年前に動いていたとすると電池が寿命を迎えて7~8年は経過していると思われました。
そういった場合に私たちが真っ先に心配になるのが「電池の液漏れ」です。寿命を迎えた電池をそのままにしておくと必ず発生してしまいます。
慎重に裏蓋を外し中を見てみると…心配していた電池の液漏れの跡が残っていました。
上の電池が長い期間時計の中に入っていた電池です。
電池のマイナス極まわりの窪みに液漏れの跡が残っています。
電池は異常に発生したガスを抜くための動作に伴って液漏れを起こします。電池切れで長期間そのままにしてしまうと必然的に発生してしまうのです。
安全を考えての構造ですが精密機械の内部にとってはゼンマイ等の機構の不具合の原因となる都合の悪い物になってしまいます。
見えている部分の液漏れの跡をきれいにし電池を入れてあげると正常に動き出しました。
しかし、液漏れが機械の内部に入り込んでいる可能性もあり、それが追々不具合を引き起こす原因になることも多々ございます。
オーナー様へ表面的に見える液漏れの状態の確認をしてもらうと同時にオーバーホールをお勧めいたしました。
オーバーホールは「分解洗浄」と訳すことが出来、文字通り内部の機械を取り出して清掃を行い、必要な個所へ油をさしなおします。
液漏れが心配される部分にも手を入れることが出来ますし、針を動かす負荷が軽減できれば電池も長持ちするようになります。
ご説明を終えると「愛着のある時計で長く動いてほしい」とオーバーホールを承ることになりました。
生活や環境の変化で大切にしていた時計を長い間保管状態にしてしまった。若しくは、大切に思っているからこそ保管したままにしていた。
そんな時計も私たちなら時計内部の状態を確認してベストな提案が可能です。
診断のみからでも大丈夫です。ぜひ一度お持ちいただきご相談下さい!
皆様のご来店、心よりお待ちしています。