アンティークウォッチ(Antique-Watch)
製造より長い年月を経過した腕時計や懐中時計の事。
通常アンティークというと製造より100年が経過して初めてアンティークと呼ばれていますが(つまり99年目ではまだヴィンテージ)腕時計に関しては普及し始めたのが最近の為(1900年代初頭)、例外的に製造から50年も経過すると一般的にはアンティーク時計と呼ばれます。
その為ほとんどが手巻、もしくは自動巻のムーヴメントを搭載した時計です。
無論、防水性能や精度等においては現代の時計とは比べるべくもありませんが、現代では見る事が少なくなってしまった当時の職人の技術の粋や、装飾的なデザイン等、アンティークの時計でしか味わえない当時の時代の薫りを昔の時計達は宿しています。
サザビーズやアンティコルムといった海外のオークションでは天井知らずに値が上がっていく事も珍しくはありません。
多くの未整備のアンティークウォッチは経年によるダメージを少なからず抱えてはいますが、適切な整備や修理を行う事により現代でも使用可能な性能を引き出す事が出来るのです。
これはかつて時計と言えば使い捨てでは無く高級品であり、定期的なメンテナンスを施しながら長く使う事を前提に製作された事に起因しています。
その為、例え部品の破損があっても、適切な工具と技術があれば現代でも使用可能な場合も多く、懐中時計では製造から200年以上を経ていても動く時計も数多く存在します。
懐中時計については昔は第一線の実用高級品であったこともあり、様々な脱進機や鎖引きの機構、また過去に発明、使用されたが製造コストが掛かり過ぎた為に、時代の変化による合理化の波の中で徐々に使われなくなってしまったパーツ類。
そして目を見張る程に繊細に彫られた彫刻(エングレービング)等、その魅力は尽きるところがありません。
写真の時計は初期のスイス製の腕時計で、シリンダー脱進機を搭載し、文字盤は琺瑯(ポーセンリンまたはエナメル等とも呼ばれます)で出来ています。
時刻調整はダボ押しで行います(1910年代~1920年代頃製造)