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ヒゲゼンマイ

縦薄の金属帯がキレイに巻かれているゼンマイ

テンプの中心にセットされている,渦巻状のゼンマイです。

振り子時計のおいては振り子の先端に重りに繋がる紐や重りに相当します。

すなわち振り子の等時性を最もコンパクトに利用したのがヒゲゼンマイというわけです。

平ヒゲ巻き上げヒゲちょうちんヒゲなどの種類がありますが、現在製造されているほとんどの時計は平ヒゲです。

時計の進化の過程で元々最初は平ヒゲのみでしたが、多くの時計師の試行錯誤の歴史の中で、先に述べた様な色々な種類のヒゲゼンマイが生み出されました。

それらの開発は主に時計の姿勢差や温度の変化によるヒゲゼンマイの弾性の変化を軽減するべく開発されました。

形状のみならず材質についても当初はただの鋼の薄板だったのですが、進化の過程でより一層温度の影響を受けにくい合金(エリンバー合金,ニヴァロックス(Nivarox)等)が開発、使用され、磁気等にも抵抗性を持った合金が開発されました。

また現代ではそもそも磁気を帯びる事のないシリコン製のヒゲゼンマイも開発されています。(オメガ等)

材料の開発、改良、部品の製作精度の向上より、結果的に現在の物が最初のシンプルな形に戻ったというのは、何とも不思議なものです。

さて、このヒゲゼンマイの大事な役割についてですが、アンクルから伝達される反復運動を一定の規則正しい振動周期にして、テンプの動作を調整します。

上の写真は時計用語で「調速機」と呼ばれるテンプ一式です。

テンプは軸になっている天芯によってムーブメント本体に固定され、ヒゲゼンマイの先端にある”ヒゲ持ち”と、中心の円柱金属にはめられた”ヒゲ玉”を支点として伸縮を繰り返します。

香箱→2番車→3番車→4番車→ガンギ車→アンクルと伝わってきたエネルギーがテンプに力を与えると、ヒゲゼンマイが伸縮します。

すると、テンプは車輪のように左右に回転運動をはじめ、他の歯車やパーツに1秒間に1回針を進めさせる振動を与えます。

この振動こそが、時計の精度に繋がるわけです。

その為、このヒゲゼンマイに何らかの理由で変形等が生じるとダイレクトに影響が出てしまいます。(ヒゲ絡み等)

時計師はそういったヒゲゼンマイの歪みを先端を極細に研いだピンセットや、ヒゲ箸と呼ばれる細い棒を使って慎重に修正していきます。

その際、ヒゲゼンマイは力を加えると簡単に変形してしまう為、時計修理において最も注意を払う部品の一つです。

現在主流のテンプ振動数は「1秒間=8振動」であり、1秒間に8回左右に振れることで、正確な時間を刻むような設計が多いです。

 

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