クオーツ
クオーツ時計 Quartz watch
クオーツ時計の仕組み
クオーツとは、水晶のことで、水晶は電流を流すととてつもなく速い速度で動く性質が有り、その性質を利用して動くクオーツ時計は、現在の時計の最も一般的な時計となっていいます。
クオーツ時計の中では、電池の力でクオーツ(水晶)がふるえます。そのふるえが、IC(電子回路)によって1秒ごとの電気信号に変えられます。そして、電気信号がステップモーターという部品で回転運動に変えられ、歯車を通じて時計の針を動かし、正確な時を刻みます。
ステップモーターの代わりに液晶パネルを使い、数字で時間を表すようにしたのが「デジタル時計」です。
クオーツ時計の歴史
日本のセイコーウォッチが世界初のクオーツ時計を開発しました。
1969年12月25日に世界初のクオーツ腕時計「セイコークオーツアストロン35SQ」を発売します。価格は45万円と当時の大衆車と同等の価格でした。それまで一般の高精度な機械式腕時計で日差数秒から数十秒が当たり前であった時代に、日差±0.2秒、月差±5秒という飛躍的な精度の向上を実現しました。小型・低消費電力で耐衝撃性に優れた「音叉型水晶振動子」、省電力化するため秒針を1秒刻みにした「ステップ運針」、コイル、ステータ、ロータを分散配置して省スペース化を可能にした「オープン型ステップモーター」。これらの技術を採用したセイコー方式は、世界標準となりました。ちなみに、クオーツアストロンの水晶振動子の振動数は8,192Hzでしたが、その後のクオーツ時計は32,768Hzの振動が標準となっています。
クオーツ時計が与えた時計業界への打撃~クオーツショック~
近代時計史において最も重要な出来事と呼べるのがクオーツショックです。
このクオーツショックによってスイスの時計産業は大きく変化することになります。
クォーツショック以前の腕時計は機械式時計であることが当然でした。
時計は16世紀頃から懐中時計として実用化されましたが、20世紀には腕時計へとその姿を変化させても、歯車の一つ一つが繊細にかみ合うことで動く機械式機構は変わらずに存在していたのです。しかし、セイコーが開発したクォーツムーブメントはその常識を一変させます。
・機械式時計を遥かに超える精度
・製造コストの低さ
・ゼンマイを巻く必要がない
・衝撃に強い
当時の時計業界は各社がより優れた精度を目指して凌ぎを削っていましたが、クォーツ時計の精度はそれを無に帰すほどに優れていました。
製造コストが低く、ゼンマイを動力としないため手で巻く必要がない。まさに時計界における革命となり、これを切っ掛けに腕時計はクォーツが主流になっていきます。
ちなみな、クォーツ時計は販売当初サラリーマンの年収に相当するほど高価な価格で販売されましたが、セイコーが特許を公開したことにより、世界中に普及し、製造環境が整い始めるにつれ、次第に安価になっていったそうです。