ハイビートを代表するムーブメントとしてはゼニスが供給する【エル・プリメロ】
テンプが往復するテンポは時計によって違います。ややこしいのは、そのテンポを表すのに3種類の方式があり、しばしば混在している点です。機械式時計の脱進機は、テンプの往路と復路でそれぞれ 1回ずつガンギ車を解放します。このため時計の世界では古くから、テンプの往復回転を片道で 1振動と数える特殊な単位が使われてきました。これが第1の方式で、1秒間に何振動するかで「5振動」や「8振動」と数えることが多いのですが、 2番目の方式として1時間あたりの振動数で表すこともあり、この場合は「1万8000振動」や「2万8800振動」と数字が3600倍になります。さらに最近では、振動数の国際単位であるHzで表す第3の方式も増加。 Hzは1秒間あたりの往復振動数で表すため、5振動は2・5Hz、8振動は4Hzと、数字が半分になります。
「ハイビート」と「ロービート」
一般に8振動以上を「ハイビート」、未満を「ロービート」と呼んでいます。ハイビートを代表するムーブメントとしてはゼニスが供給する〝エル・プリメロ〟やセイコーの〝 9S85〟(共に10振動)、ロービートではユニタスが開発し現在はETAが供給する〝cal.6497-1〟(5振動)などがよく知られています。
長所と短所
文字盤の目盛をどれだけ細かく刻もうが、歯車の組み合わせで秒針の動きをどこまで細分化しようが、機械式時計が計測できる時間の最小単位はテンプの振動数を超えられず、5振動は5分の1秒、10振動は10分の1秒まで。つまり、振動数が多い方がより細かい時間まで計れるということです。さらに、振動数が増えれば天輪の回転速度も速くなって遠心力が高まるため、等時性もより安定しやすくなります。こう書くと、あらゆる点でハイビートの方が優れているように聞こえますが、振動数だけで優劣は決まらず、必ずしもそう言い切れないのが機械式時計の奥深いところですね。ハイビートには、テンプの往復回数が多い分だけエネルギーを消費して「パワーリザーブ(ゼンマイ動力の持続時間)」が短くなり、部品の摩耗も進みやすいという短所もあるのです。一方、ロービートには逆の長所と短所があるわけで、結局はどちらも一長一短。今日では精度に優れたロービートや、パワーリザーブと耐久性が改善されたハイビートも多いので、振動数だけで一概に優劣はつけられません。
もちろんBROOCH時計修理工房では、ハイビートを代表するエルプリメロやロービートの多いアンティークウォッチのオーバーホール(分解洗浄)、ポリッシュ加工(ケース・バンド)外装磨き、電池交換、コマ調整、バネ交換、バンド交換など、ありとあらゆる修理・作業を承っております。
また、修理だけでなくアンティークウォッチの販売、革ベルトの販売、ベルトオーダーなどの販売も行っております。ベルト交換やアンティークウォッチの購入の際はBROOCH時計修理工房までお越しください。大切な人から頂いた時計、思い入れのある時計、お使いの時計に不具合等ありましたら、是非一度ブローチ時計修理工房へお越しください。ご相談だけでも承っております、お気軽にご相談下さい。