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ラチェットツース脱進機

主に19世紀から20世紀初めの懐中時計に使われた脱進機の一つ。イングリッシュレバー脱進機とも。

現在のスイスレバー(クラブツース)脱進機と構成部品の種類と動作原理はほぼ同一だが、最大の違いはガンギ車の歯の形状が異なっている点である。

スイスレバー脱進機のガンギ車の歯先がゴルフクラブの頭のような形なのに対し、ラチェットツース脱進機のガンギ車の歯先は細く尖った三角形になっている。両者の名前の違いはこの歯先の形状に由来する。

アンクルの形状も違い、スイスレバー脱進機がガンギ車、アンクルの中心、テンプの中心がほぼ一直線上に配置されているのに対し、ラチェットツース脱進機はアンクルの形状が細長い板状になっており、それに伴ってガンギ車はアンクルに対して直角に配置されている。写真の青で囲ったところがガンギ車で赤で囲まれた部分がアンクル(レバー)。

イギリスで開発され、19世紀のイギリスで全盛を誇ったがヨーロッパ大陸ではあまり普及しなかった。

これらのレバー脱進機が登場する以前に主流であったバージ脱進機やシリンダー脱進機等は、常に脱進機の部品が接触したまま作動していた為、材質によっては部品の摩耗が進んでしまったり、ゼンマイのトルクにより精度に大きくバラつきが出たりといった事があった。

鎖引き装置はこのようなゼンマイのトルクのバラつきの問題を解決する為に使用されたものである。

その点ラチェットツース脱進機等のレバー脱進機はアンクルと振り石が動作中は完全に分離される為に、摩耗が極めて少なくなり、摩擦の軽減によって大きく精度も向上した。

今日ではラチェットツース脱進機を搭載している時計はほぼ無きに等しいが、その子孫であるクラブツース脱進機は現在でも機械式時計において主流の地位を占めている。

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