BROOCH(ブローチ)時計修理工房神田店です。
皆様、ムーンフェイズをご存知でしょうか。恥ずかしながら私は知りませんでした。ところが最近、お客様の時計を通じて調べる機会があったので、皆様にも共有したいと思い、この記事を書きました。
それではムーンフェイズについてご紹介します!
ムーンフェイズとは
ムーンフェイズとは、月齢や月の満ち欠けを時計の文字盤で確認することができる機能のことです。月齢とは、新月から次の新月までを1日単位で数えて、その日数によって月の満ち欠けの度合を表わすものです。つまり、今は三日月だ!とか、満月だ!というのが分かるような表示・機能ということですね。
実生活で用いる例としては、潮の満ち引きの大小を確認することができます。大潮かどうかが分かると、それによって魚が釣れるかどうか、潮干狩りに向いてる日かどうか等が考察できます。またマリンスポーツをされる方には、潮の大小が大きな影響を与えることもあるため、対策を立てることができます。
とはいえ、今日では月齢を日常的に気にする方よりも、デザインとしてムーンフェイズを好きだという人が多い印象です。月や星座の表示があると、それだけでもかなり目を惹く時計になりますよね。
ムーンフェイズの歴史
その歴史は古く、16世紀にヨーロッパで開発された置き時計には、すでに搭載されていたものがあったそうです。精度は如何なるものだったか疑問ですが、かなり興味がありますね。
精度と言えば、ムーンフェイズを用いて実際の月を忠実に再現しようと努力した人たちがいます。
新月から次の新月に移り変わるまでの時間、つまり月が地球を一周するのにかかる周期(朔望月)は、約29.53日です。厳密に言うとこれは平均値で、約29.27日から29.83日の幅があります。これを正確に文字盤で表示させるのは、あまりにも困難な話です。ところがこれを実現した人がいます。時計の歴史を200年早めたともいわれる天才時計師、アブラアム=ルイ・ブレゲです。
ブレゲは、朔望月を29.5日であると、おおよそで設計したのです。しかしこの「0.5日」をどのように設計するかがカギとなります。歯車で表現する際、1日分を1歯で収める、つまり29歯か30歯の歯車で設計すると「0.5日」が表現できないのです。そこでブレゲは、29.5の倍の59歯の歯車を用いようと考えました。1日分を1歯進む歯車が59歯あるため、2日で1周、1日で半周する造りにしたのです。天才ですね。おおよそであれば、29日や30日に丸めることもできたのに、できる限りの精度を探求した姿勢が伺えます。
また、歯車が1日で半周動くということは、ムーンフェイズのディスクには、月の絵が2つ描かれているということも分かりますね。この設計は多くの時計のモデルとなり、受け継がれています。
現代では、より高精度な設計のムーンフェイズも存在し、ブレゲがおおよそとした部分の誤差を、できる限りなくすような時計が世に放たれています。
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いかがでしたでしょうか。ムーンフェイズについてご紹介しました。時計のフェイスを華やかに表現し、実用的な部分もある素敵な機能でしたね。自分もいつかムーンフェイズの機能が搭載された時計を欲しいなと思います。
上記で掲載した2つの時計は、どちらもオーバーホールでお預かりさせていただいた時計です。当店ではムーンフェイズが付いた時計の修理も承っております。
その他時計に関するお困り事がございましたら、ブローチ時計修理工房神田店までお問い合わせください。
お待ちしております。