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ブローチ時計修理工房万代店です。
今回は時計に注油されている油がどのような役割をしているか、また油が切れる期間など油についてご紹介します。
皆様は時計を使用している際、油のことを気にされたことはありますか?
油は時計を動かすのにとても重要な役割を果たしています。
油の役割
時計は内部で歯車やテンプなど様々な部品が動いていますが、油はその部品の軸の摩擦を軽減する役割がございます。
油は軸にかかる摩擦を考慮し、適切な場所に、適切な油の量をささないと意味を持ちません。
ただ注油しても意味がなく、また、汚れ、チリ、ゴミなどがないようにしなければ、注油しても時計の精度は出ません。
例えばテンプの耐震装置と呼ばれる箇所に、僅かなホコリが混入するだけで、振り角から歩度など大きな影響を与えます。
時計はとてもデリケートに作られています。
基本的に油の粘度が重いものは、トルク(歯車を回転させる力)や摩擦が大きい箇所、年度が軽いものはその逆となります。
油を注す工具
油は上の写真のようなオイラーを使います。
針のような先端を必要注油箇所に注す事で表面張力の開放を行い、に油を広げる事ができます。
油が少なければ動かなかったり調子が上がりませんし、多ければ精度を狂わせたり、油が邪魔し歯車の動きを止めてしまいます。
油の大まかな種類と使用箇所
油の種類はグリーズのようなものから、サラサラとしたものまで粘度の違う専用の油を1つの時計でも4~5種類使い分けます。
グリースのような重たい油は、リューズを操作し、その力が加わる歯車の軸やレバーなどの部品どうしが擦れる部分に注油します。
軽めの油は、時計の針を動かす歯車のホゾの人工ルビー(石)などの部分に注油します。
時計の内部に使用される油の変質は3~4年と言われており、乾いてきたり、汚れて変質が進み(油切れと言われる状態)そのまま放置をしておくと、精度不良⇒動作不良⇒部品不良の原因となります。
定期的にオーバーホールをされるといつでも時計を良好な状態でお使い頂けます。
オーバーホールとは、時計が正常に動くように、時計のすべての部品を分解、洗浄、組立、注油、調整、実測を行うもので、分解掃除とも呼ばれています。
電池交換や精度調整のみでは修正できない不具合のある時計や、購入から数年経過した時計に必要なメンテナンスです。
車にも車両点検があるように時計にも定期的にメンテナンスが必要です。
時計のことでご相談やお困りごとがございましたらお気軽にブローチ時計修理工房まで足をお運びください。