ROLEX-ロレックス- Ref.18038 修理 オーバーホール
ROLEX Ref.18038 オーバーホール(分解掃除)修理
ROLEX (ロレックス)デイデイト cal3055のオーバーホール依頼です。
ロレックスのおさらい、ロレックスはスイスの老舗腕時計メーカー。1905年ハンス・ウィルスドルフによってイギリスのロンドンに設立された会社に始まる。1908年商標登録。1920年スイス・ジュネーブに移る。1926年世界初の完全防水・防塵腕時計オイスターケースを開発,1931年画期的なローター機構の自動巻腕時計パーペチュアルを発表,1953年世界初のダイバーズウォッチを売り出す。精度の高さ,防水性などで世界で最も高い評価と人気を得ている時計ブランド。(一部WIKIより引用)
ROLEXオーバーホール①全体を分解してパーツごとに整理
まずは、自動巻部分から分解していきます。デイデイトは曜日と日付がそれぞれ別の窓で行事される画期的な仕組みの腕時計です。ですから通常のロレックスよりも少しパーツの数も多いのです。分解したらパーツを洗浄していきます。
後洗浄用のベンジンでパーツを一つ一つ使い丁寧に洗います。油汚れの溜まりやすい穴石などは場合によっては沢山汚れが付く場合があります。汚れがひどい場合は事前に掃除機である程度汚れを落としておきます。
車類の”あがき”が適正か確めた後、すべて分解して傷や破損がないかチェックします。
切り替え車は、油の拡散防止のためエピラム処理をします。
エピラム処理とは
上の写真のエピラム液に必要なパーツを30秒以上入れ、ドライヤーなどで乾燥させる事によりそのパーツに油拡散防止のための被膜をつくる処理の事をいいます。
組み上げをし、必要な場所に注油して巻き上げ車が軽くスムーズに回る様ならOKです。
ROLEXオーバーホール②テンプ、天芯のホゾ、振り座、天輪
テンプは時計の心臓部の一つなので、特に神経を使います。先ずテンプ受からテンプを外し上下の穴石、受石を外します。
小さいので見えつらいですが受け石には”ルビー”が使われます。ルビーは硬度9で摩耗しにくい素材なので心臓の様に絶えず動いている部品の固定具として昔からゼンマイで動く時計に使用されています。
天芯のホゾ、振り座に傷や異常がないかチェックをしたら天輪の振れのチェックします。
ROLEXオーバーホール③ひげゼンマイ
それが済んだら、ヒゲゼンマイに狂いがないか、内端の振れがないかチェックします。内側の振れが見つかれば修正しながら進めます。
天受、天輪、穴石 受石をベンジンで丁寧に洗浄します。
穴石 受石を組み合わせ注油します。注油の適量はショックバネに触れる位が良いとされています。
(受石の色が少し濃くなっている所が油が入っている部分です)
一旦ここまで行ったらテンプのパーツ一式をフセビンの中に入れて保管しておきます。テンプの組み上げは修理工程の最後の法なので一旦このままにして次の作業に移ります。
ROLEXオーバーホール④カレンダー機構を分解する
ROLEXのCal1570系やCal3035系のカレンダー車を押さえているナットは特別な形をしているので、その形に加工したドライバーで外します。時計修理に必要なこうした工具は自分で加工して使いやすいように作り出します。
ROLEXオーバーホール⑤アガキ、ガンギ車、アンクルのエピラム処理
次に輪列のアガキのチェック 調整をし分解します。
全て傷、破損がないかをチェックして修正、調整をしそれぞれのパーツをベンジンで丁寧に洗浄します。
ガンギ車とアンクルは油拡散防止のためエピラム処理をしガンギ車は上下のホゾ、アンクルは上下のホゾとハコと剣先のエピラムをピスウッド等で除去しておく様に私どもBROOCH時計修理工房ではしています。
(必要ない 接触する部分にエピラム処理されている事が好きではないので)
洗浄した部品を組み立てていきます。
まずクラッチ等を組み上げてから輪列を組み上げます。歯車の場所によって数種類の油を使分けますがロレックスの場合も同様に場所に合った油をそれぞれ注油していきます。
アンクルを組み上げたら爪石に油をのせガンギ車の歯を7枚送り、それを3回繰り返すとガンギの歯全体に油が行き渡ります。
その時油をのせ過ぎるとガンギの歯の横の方まで油が流れてしまうので注油量には細心の注意が必要です。
ROLEXオーバーホール⑥テンプを組み上げ
テンプのアガキを調整します。次にヒゲゼンマイのセンターとフラットを調整します。
テンプとひげゼンマイをセットしたらどの程度の”振り”か?をこの段階でチェックします。この写真で左から右にかけて2本の線が1本になっていくのがわかると思います。
これはテンプの片振りを調整しています。これが済んだら歩度(時間)調整して測定器で検査します。
なかなか良い状態になったと思います。
ROLEXオーバーホール⑦カレンダー機構を組み上げ
カレンダー機構は油をさしすぎると、必要ない所まで油が回ってしまいカレンダーが変わりきらないという不具合をおこすので注油量には注意します。
次に日付板、曜日板をのせ文字板をセットします。針は、リューズを手回しで11時58分位に変わる様にセットします。
そうした方が時計が自然に動いた時に、ロレックスのデイとジャストでは12時ジャストに変わる事も重要です。ここは熟練の技術で12時ジャストにカレンダーが切り替わる感覚を見つけていきます。
ROLEXオーバーホール⑧針のセット
針は秒針、分針、時針がそれぞれ平行になる様に細心の注意を払ってセットします。ここ迄来るとようやく時計らしくなってきましたね
最期に小さなホコリやゴミがないかを十分注意しチェックしながらケーシングをして完成です。一口に分解掃除オーバーホールと言っても様々な作業工程を踏んで時計を蘇らせていきます。もしもお持ちの時計で動かなくなってしまったものや分解掃除してあげたい時計をお持ちでしたらぜひ店頭までお持ちください。
オーバーホールの動画をYOUTUBEにupしましたので、凄腕時計師ドクターKのドライバーさばきにご注目ください。