BROOCHブローチ時計・宝石修理工房 > ブログ > 阿佐ヶ谷店 > 【BROOCH時計修理工房阿佐ヶ谷店】3大複雑機構のひとつ、トゥールビヨンについてお話致します。
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3大複雑機構について(トゥールビヨン編)
腕時計のオーバーホール新潟、神田、鎌田、阿佐ヶ谷

写真_オーバーホール写真
みなさんは3大複雑機構という言葉を聞いたことはありますか?腕時計のさまざまな機構の中でも、構造が特に複雑で作製に高い技術を要する機構を「世界三大複雑機構」と呼びます。小さなケースの中で繰り広げられる複雑機構の繊細なつくりに魅了される方も少なくありません。今回は、そんな世界三大複雑機構の一つトゥールビヨンについてご紹介します。

トゥールビヨンとは?

トゥールビヨンとは、アブラアン-ルイ・ブレゲによって発明された三大複雑機構の一つで、1801年に特許として認定されました。トゥールビヨンはフランス語で渦を意味します。時計の一部の部品が渦を巻くように回転しているからです。
通常の機械式時計は、姿勢差の影響を受け制度に誤差が出てきます。姿勢差とは、時計の姿勢によって進み遅れが変わることを姿勢差と言います。トゥールビヨンは、この姿勢差を平均化させ重力からの影響を分散させました。
どのようにして、重力を平均化させたのか?そこで先ほどお話した部品が渦を巻くように回転させ重力を均一化することができます。その回転しているパーツがキャリッジと呼ばれる部品です。キャリッジ(籠)とは、時計にとっての心臓部である調速機(テンプ)と、機械式時計で重要なパーツである脱進機(ガンギ車・アンクル)をかご状のパーツにまとめた部位です。このキャリッジを回転させることで高精度な腕時計を生み出すことができます。時計の心臓部であるテンプを変化させ続けることで、姿勢差による誤差を平均化しました。通常の時計は、ゼンマイが収められている香箱(1番車)→2番車→3番車→4番車→ガンギ車→アンクル→テンプの順番で動力を伝達していきます。トゥールビヨンの場合は、4番車が固定されており、ガンギ車の中央部分のカナ(小径の歯車)が4番車とかみ合って自公転することでキャリッジが回転する仕組みになっています。ガンギ車の自公転スピードはテンプによってコントロールされており、キャリッジは1分で1回転する仕組みになっています。結果としてキャリッジが秒針の役割をしている時計が多く、トゥールビヨンを搭載した腕時計はセンターに秒針を持たないモデルがほとんどです。

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