機械式時計の時刻が合わない
機械式時計・クォーツ時計は定期的なメンテナンスが必要です。1日30秒以上誤差がある場合は、内部でトラブルを起こしている可能性があるため、オーバーホールが必要です。今回は、今まで正確に時を刻んでいた時計が、なぜ時間がズレるようになったのかお話していきます。
機械式時計の時刻が合わなくなる原因
写真_OMEGAオーバーホール
まず一つ目に考えられる原因は、油切れです。機械式時計は、100を超える多くの部品が組み合わされて作られており。その一つ一つの部品に、スムーズな動作と摩耗を防ぐために潤滑油が塗布されています。しかし、使い続けていくうちに、内部の潤滑油が乾燥や凝固などを起こし、部品の動きに障害が出てしまいます。正しく使用していても、4・5年ほどで潤滑油の乾燥は起こりますので、定期なオーバーホール(油の注油)が必要になります。油切れは、オーバーホールを行うことで、正常な状態に戻ります。
次に考えられる原因は、自動巻き時計のローター摩耗です。自動巻き時計は、時計を着けた腕の動きに合わせてローターが回転し、歯車などに伝達して、ゼンマイを巻き上げます。この自動で巻き上げる機構部分は負荷がかかりやすく、部品同士がこすれて歯車などの部品を摩耗させてしまいます。摩耗してしまった部品や部品カスが内部の機械に入り込み、動きに障害が出ています。こちらの症状もオーバーホールを行うことで正常な状態に戻ります。
それ以外にも、落下などにより時計に強い衝撃を受けると、テンプに取り付けられたヒゲゼンマイにトラブルが起こり、時間の遅れや進みの原因になることがあります。落とした時の衝撃でヒゲゼンマイの天真が歪んだり、ヒゲゼンマイが絡んだりする為です。この場合は、ヒゲゼンマイの調整や部品の交換が必要となります。
また、クォーツ時計にも言えることですが、強い磁気を受けると、精度に影響を残します。一度磁気の影響を受けてしまうと、いくら磁気から遠ざけたとしても、ムーブメント内部に磁気が残り、精度に影響を及ぼし続けます。この場合、磁気抜きを行うことで、元の精度に戻ります。磁気の強さは距離が離れるほど影響が小さくなります。5cm離すだけでも大きく変わるので、時計を腕から外したときは、少しでも磁気を発する電化製品から離して置くように心掛けましょう。